猫の飼い方とマナー、守れていますか?
1980年代の日本には、自由気ままを謳歌している野良猫や、外飼いの猫がたくさんいました。
記憶に残っている方もおられると思いますが、映画「子猫物語」や、ミュージカル「キャッツ」なども流行りました。それを機会に猫の人気もますます高まり、見ていて飽きないしぐさや、マイペースかと思えば急に甘えてくるかわいさに、魅了される方もたくさんおられます。
そんな家と外を行き来する、自由奔放なイメージのある猫ですが、最近は室内飼いが推奨されています。愛猫と楽しく快適に過ごすためには、どんな点に気をつければよいのでしょうか。
今回は、室内飼いを始め、猫の飼育マナーについて、配慮すべき点をご紹介します。
なぜ? 猫の室内飼いについて 外飼いのリスクとは
基本的に猫を飼うときは、室内飼いが推奨されています。外飼いの場合は、大きくわけて3つのリスクがあると、考えられているためです。
ここでは、猫を室内で飼育する主な理由について、みてみましょう。
・感染症や寄生虫
もし、猫を自由に屋外に出す外飼いにした場合、外猫と縄張りをめぐって喧嘩をして、ケガを負うことがあります。外猫は、感染症にかかっていることも多く、接触することで、猫風邪や猫エイズ、猫白血病などがうつる可能性もあります。一度感染すると、完治が難しい場合もあり、注意が必要です。
また、ノミやダニなどの寄生虫に、感染する恐れもあります。その場合、皮膚炎や、お腹の中に寄生する寄生虫にも感染するなど、他の猫へ感染を広げるケースもみられます。発育不良につながることもあるため、気をつけましょう。
外猫との接触を避けて、感染症をふせぐために、室内飼いが基本とされています。
・交通事故など
猫が道路に飛び出すと、車と衝突して、命を落とすケースもあります。事故にあったため、骨折や脳挫傷など、怪我や後遺症を患うこともあります。
また、外に出ていったまま、戻らない例もあります。
行方不明や、誰かに盗まれる、虐待されるなどの、悲しい事態にならないためにも、室内飼いがすすめられています。
・予期せぬ繁殖
メス猫の場合は、春から夏にかけて、年に2~3回、発情期を迎えます。
そのため、外に出している間に他の猫と接触して、飼い主が気づかないうちに、知らない場所で出産しているケースがあります。そして、産んだ後の子猫たちは、殺処分の対象になってしまうこともあります。
こうした事態を避けるためにも、室内飼いは必要といえるでしょう。
<去勢・避妊手術について>
望まない妊娠を防ぐためにも、去勢・避妊手術は、推奨されています。
手術を行うことにより、性ホルモンに関する病気を予防できます。またメスの場合は、発情がなくなり、性的なストレスを減らすことができ、オスの場合は、発情したときの鳴き声がなくなったり、臭いの強いスプレー行為をしなくなったりします。
メリットが多い一方、術後は太りやすいともいわれるため、獣医師と相談して進めましょう。
猫の正しい飼育マナー
一般的な猫についての苦情に、「発情期の鳴き声がうるさい」や、「ふん尿で困っている」、「庭に勝手に入ってくる」といった意見が多くみられます。これらは、飼い主の責任であり、改善できることです。
ご近所に迷惑をかけないためにも、どのような点に気をつければよいのか、みてみましょう。
・夜中に騒がせない
猫は夜行性の動物といわれています。そのため、昼間は睡眠をとり、エネルギーを蓄えているため、夜に活発化すると考えられています。
また、さみしさなどのストレスから眠れなくなることや、発情期や病気による夜泣きの可能性もあります。
しかし、昼間にたっぷりと遊べば、夜は休んでくれるケースもあります。猫は短時間集中型のため、1回あたり15分程の短い遊びを取り入れて、昼間を活動時間にするなど、工夫してみましょう。
また、飼い主が朝に起きてからご飯を与えれば、「夜に起きていても、何もない」と、猫が理解するようになります。
さらに、スキンシップをとることで、ストレスが減り、落ち着いてくれることもあります。
愛猫の性格や年齢などを考えて、試してみましょう。
・壁や家具での爪とぎをさせない
猫の爪とぎは、獲物をとらえ、自分の身を守るための行動といわれています。また、肉球の臭いをつけることで、マーキングをしていると考えられています。
猫本来の習性のため、止めさせることはできませんが、壁や家具などで爪とぎをすると、傷がついてしまいます。賃貸住宅の場合は、原状回復の費用が、かなり高額になることもあります。もし損傷が大きいと、大家さんにも迷惑がかかるため、しっかりと対策を考えましょう。
たとえば、爪とぎ用のグッズを設置し、爪とぎをしてもいい場所を覚えさせることも、効果的です。爪とぎをしてほしくない場所には、つるつるした素材の壁の保護シートを貼り、猫が「ここでは爪とぎができない」と思わせるなど、工夫してみましょう。
・屋外ブラッシングは避ける
猫には、大量の毛が抜ける春と秋の換毛期があります。その時期は、部屋中に抜け毛が散乱するため、こまめな掃除が求められます。
また、ベランダや屋外でブラッシングをすると、風にのって抜け毛が舞ってしまい、近隣へ飛んでいくことがあります。隣家の洗濯物などに抜け毛がつくなど、ご迷惑にならないよう、ブラッシングは屋内で行いましょう。
その際は、窓を閉めて、毛が飛ばないように配慮をします。
・猫のトイレと排泄物の処理
子猫の間に、トイレのしつけは済ませておきましょう。また、猫の健康のためにも、トイレ掃除は欠かせません。放置すると臭いの原因にもなります。
なお、猫の排泄物は、人間とは違い、硬さがあります。そのため、人間用のトイレでは流れにくく、詰まる原因となってしまいます。
トイレに流せるタイプの、ねこ砂もありますが、住宅の種類によっては詰まる恐れや、集合住宅などでは使用を禁止している場合があります。燃えるごみとして処理することが望ましいですが、保管場所によっては臭いがもれる場合もあるので、注意が必要です。
できるだけ臭いを減らせるよう、ゴミ袋や保管場所など、配慮しましょう。
・迷子札(名札)をつける
猫を室内で飼っていても、少しの隙間を見つけて脱走したり、外に出てしまったりするケースがあります。周囲に飼い猫であることを知らせるためにも、迷子札をつけておきましょう。
保護されたときに、すぐに連絡がもらえるだけではなく、動物虐待や災害時の迷子対策にもつながります。
最近ではマイクロチップの装着が義務化されました。ペットの装着に補助金を交付している自治体もあります。
ルールを守って楽しく暮らそう
外での排泄や、夜中の運動会など、猫にとっては自然な行動ですよね。
しかし、不快感を抱く方もおられます。大切に室内飼いをしていても、苦情につながってしまうことは、とても残念です。そうならないためにも、飼い主の配慮が求められています。
飼育マナーに気をつけて、愛猫との幸せな暮らしを、ずっと守っていきたいですね。
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