歯磨きを習慣にして愛犬の歯を守ろう！慣れるためのステップと磨き方のポイント

子犬には、さまざまな新しいことを柔軟に受け入れる能力があります。そのため、子犬を迎えた場合は、新しい環境に慣れたくらいのタイミングから歯磨きの練習を始めるのが理想的です。この時期に歯磨きへの抵抗感を軽減することができれば、成犬になってからもスムーズにケアを続けられるようになります。

生え変わりの時期が訪れると、歯や歯茎がムズムズしたり、違和感を感じたりするため、いろいろなものを噛みたがります。そのため、手や歯ブラシを噛んでしまい、落ち着いてケアをするのが難しいこともあります。
その場合は、歯磨きガムや歯磨きトイを活用すると、愛犬の「噛みたい」という欲求を満たしつつ、歯のケアを楽しい習慣として始める良い機会にすることができます。

なお生え変わりの時期は、歯や歯茎が敏感になり、歯ブラシが当たると痛がったり、時には出血することもあります。そのため無理に歯ブラシを使わず、優しくケアをすることが大切です。
愛犬の様子をよく観察しながら、無理のない範囲で歯磨きの習慣を作っていくことが、健康な歯を保つための第一歩です。

最初から歯ブラシを使って歯磨きを始めるのはNGです。突然口に手を入れたり、歯ブラシを持って歯を磨こうとすると、犬が驚いてしまい、口元を触られることや歯磨きそのものを嫌いになってしまう可能性があります。
歯磨きを成功させるためには、段階的に進めることが重要です。以下のステップを参考に、少しずつ慣らしていきましょう。

①口元を触られることに慣らす
まずは愛犬がリラックスしているタイミングを選び、スキンシップをとりながら、顔や口周りを触る練習から始めます。優しく撫でるように触れ、嫌な思いをさせないことが大切です。最初は短時間で終わらせ、徐々に触る時間を延ばしていきましょう。

口元を触られることに慣れてきたら、唇を優しくめくり、歯や歯茎を軽く触る練習をします。もし犬が頭を引っ込めたり、唸ったりなどの嫌がるサインを見せた場合は、無理をせず一旦中断し、犬が受け入れられる範囲で行うようにしてください。
触らせてくれた際にはその都度おやつを与えるなど、ポジティブな体験に結び付けることがポイントです。「口元を触られる＝良いこと」と認識させることで、犬の警戒心を和らげることができます。

また歯磨きペーストを指先に少量つけて舐めさせることで、歯磨きの道具への抵抗感を減らします。犬用歯磨きペーストにはおいしいフレーバーが多いので「口元を触られること＝楽しい」と感じてもらうことができます。

②指を使った練習
歯や歯茎を触られることに慣れたら、次のステップとして、指に歯磨きシートやガーゼを巻いて、歯を優しく拭って汚れをとる練習を始めます。犬が怖がりにくく、受け入れやすいように、シートやガーゼはしっかり巻き付けて、指で優しく磨く感触に近づけるのがポイントです。このとき、歯茎のマッサージも併せて行うと良いでしょう。
またこの段階で、シリコンなどの素材でできた指サック型の歯ブラシを使い、ブラシの感覚に慣れてもらうこともおすすめです。

③歯ブラシに慣らす
歯磨きをスムーズに進めるためには、歯ブラシに対する警戒心を取り除くことも大切です。歯ブラシを見せて匂いを嗅がせる、あるいは歯ブラシで軽く遊ばせるなどして、道具に慣れてもらいましょう。
歯ブラシに慣れてきたら、歯ブラシを口元に当てる練習を行い、軽く歯や歯茎に触れるところから始めます。この段階でも、愛犬が嫌がらない範囲で進めることが大切です。

すべてのステップを通じて大切なのは、歯磨きを楽しい体験にすることです。おやつをあげたり、遊びを取り入れたりして、歯磨きをポジティブな時間として覚えさせましょう。
嫌がらない範囲で、愛犬のペースに合わせて、無理なくトレーニングを進めることが成功への近道です。

歯磨きには、必ず犬用の歯ブラシを使用しましょう。歯ブラシは鉛筆を持つように軽く握り、力を入れすぎないことが重要です。
歯ブラシを歯に対して45度の角度で当て、小刻みに動かして歯と歯茎の境目を丁寧に磨きます。このとき、歯周ポケットの中の汚れをかき出すイメージで優しくブラッシングを行いましょう。

歯磨きは犬歯からスタートして、犬歯がみがけたら前歯、次に奥歯（臼歯）と進めるのがおすすめです。特に、上顎の第4前臼歯（奥歯の手前）は歯石が付きやすい部位として知られているため、念入りにケアするようにしましょう。
慣れてきたら、徐々に内側も磨けるようにします。内側を磨く際には、愛犬におもちゃを噛ませておくと口を開けやすくなり、スムーズにケアを進めることができる場合があります。

初めて歯磨きを行う際は、数秒で終わっても問題ありません。無理に長時間行おうとせず、短時間で少しずつ磨くことを心がけましょう。一か所磨けるごとにおやつなどのご褒美をあげることで、愛犬にとってポジティブな体験となります。コミュニケーションのひとつとして、楽しい雰囲気で歯磨きを行いましょう。
最初のうちは1分以内で終わらせ、磨く範囲や時間を少しずつ広げていきましょう。一度に全ての歯を磨こうとせず、数日かけて少しずつ磨くことが、歯磨きを習慣化するポイントです。

・必ず犬用の歯ブラシを使う
犬の口の中は人間よりも狭く、歯の形状や大きさも異なります。そのため、犬専用の歯ブラシを使用することが重要です。犬用の歯ブラシはヘッドが小さく、柔らかい毛でできており、犬の歯茎や歯を傷つけにくい設計になっています。人用の歯ブラシは大きすぎたり硬すぎたりするため、使用を避けましょう。

・優しい力で磨く
犬の歯や歯茎は非常にデリケートで、ちょっとした刺激でも痛みを感じる場合があります。歯ブラシを動かす際は、自分の歯磨きの10分の1程度の力をイメージして優しく行いましょう。特に歯茎にブラシを当てる際は、強く押し付けないように注意が必要です。力を入れすぎると歯茎を傷つけてしまい、歯磨きを嫌がる原因になります。

・歯ブラシは定期的に交換する
犬用の歯ブラシも、使用しているうちに毛先が広がったり、汚れが付着して劣化します。劣化した歯ブラシは清掃能力が低下し、歯茎を傷つけるリスクが高くなるため、1～2か月を目安に交換するのがおすすめです。また、使用後はしっかり洗浄して乾燥させ、衛生的に保ちましょう。

・犬専用の歯磨きペーストを使う
人用の歯磨き粉は、キシリトールやフッ素など犬にとって有害な成分が含まれているため、絶対に使用してはいけません。特にキシリトールは血糖値を急激に下げ、肝臓に負担をかける可能性があり、最悪の場合、命に関わることもあります。
安全な成分で作られている犬用の歯磨きペーストは、チキンやバニラなどの風味がついているため、歯磨きを楽しい体験にする手助けにもなります。

・愛犬の状態を観察する
歯茎が赤く腫れていたり、出血が見られる場合は、無理に歯磨きを進めないようにしましょう。これらは歯周病の兆候である可能性があり、歯磨きによって悪化することがあります。異常があると感じたら、まずは動物病院で診察を受けることが大切です。

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噛むという行為自体が楽しい犬にとって、歯磨きガムや歯磨きトイは、遊び感覚でストレス解消やエネルギー発散の役割を果たしながら、口元に触れることや歯磨きへの抵抗感を減らすステップとしておすすめです。
また噛むことで歯垢を取り除き、歯茎のマッサージ効果も期待できるため、歯垢の抑制や毎日の歯磨き時間の短縮ができる補助的なグッズとしても活用できます。

・歯磨きガム
硬すぎたり大きすぎたりすると、歯や口内を傷つける可能性があるため注意が必要です。歯垢除去や歯石予防といった効果が明記されている製品を選び、特に繊維質のものは歯垢を落としやすいため、おすすめです。
歯磨きガムはしばらく噛むことで効果を発揮するものなので、与えっぱなしにするとすぐに食べてしまい十分な効果が得られません。また丸飲みしてのどに詰まらせたり、消化不良を引き起こす恐れがあるため、飼い主が最後まで手に持って噛ませましょう。左右の奥歯でバランスよく噛めるように誘導してあげると、より効果的です。
与えすぎると肥満の原因となってしまうため、摂取カロリーにも気を配り、必要に応じて食事量を調整しながら、適量を守って与えましょう。

・歯磨きトイ
噛みちぎれない、天然ゴムやナイロンなどの素材が適しています。持ちやすく、歯の隙間に入りやすい形状のものを選ぶと効果的です。トイに歯磨きペーストを塗ることで、ケア効果をさらに高められます。

手軽に取り入れられる便利がグッズですが、どちらも歯磨きの代わりではなく、あくまで補助として活用しましょう。

歯ブラシに慣れる前のステップとして使用します。歯磨きシートやガーゼを指に巻きつけ、歯の表面を優しく拭うことで汚れを取り除きます。ガーゼを使う場合は湿らせるか、歯磨きペーストやジェルなどをつけるのもおすすめです。

衛生的な使い捨てタイプの歯磨きシートをはじめ、洗って繰り返し使えるガーゼにも、抗菌・薬用成分入り、メッシュ加工のもの、指サック型、スポンジタイプ、歯磨きジェルが染み込んだものなど、さまざまなバリエーションがあります。
愛犬の好みに合わせて、使いやすいものを選ぶと良いでしょう。

歯ブラシと併用して歯垢を効果的に落とし、口臭を予防します。チキンやバニラ、ピーナッツバターなど犬が好むフレーバーが多く、歯磨きへの抵抗感を減らします。
なお人用の歯磨き粉には、キシリトールなどの有害な成分が含まれているため、絶対に避けてください。

いずれも歯垢の蓄積を抑える、口臭の軽減といった効果があります。
ジェルは指に取って歯や歯茎に優しく塗り広げるだけ、液体のタイプは飲み水に混ぜるだけ、スプレータイプは口の中に直接噴霧するだけで簡単にケアができるのが特徴です。
そのため、歯磨きに慣れていない犬や歯ブラシを嫌がる犬に、歯磨きの代用として使うことができますが、歯磨きによる物理的な汚れの除去と併わせて、あくまで補助的に使用するのが理想的です。

製品を選ぶ際は、歯垢予防や口臭対策など、目的に合った効果が明記されたものを選び、必ず犬専用の製品を使用してください。

・指サック型の歯ブラシ
指にはめて直接動かせるため、力加減を細かく調整しやすく、歯磨きに慣れていない犬や口元が敏感な犬にも使いやすくなっています。
その中でもシリコンなどの柔らかい素材でできているタイプは歯茎に優しく、通常の歯ブラシよりも刺激が少ないため、ブラシの感覚に慣れてもらうことができ、歯垢を落としつつ、歯ブラシへ移行するステップとして活用できます。

・360°タイプ
ブラシが全周（360度）に配置されているのが最大の特徴です。どの角度からでも磨くことができるため、奥歯や細かい部分にも届きやすく、細かい動きを気にせずケアができます。特に歯磨きに慣れていない犬や、じっとしているのが苦手な犬におすすめです。

他にもヘッドが小さい歯ブラシや、非常に柔らかい毛が使われた歯ブラシ、歯の裏側も同時に磨けるダブルヘッドの歯ブラシなど、バリエーションは多岐にわたります。
愛犬の口の大きさや口内環境、好みに合わせて最適なものを選びましょう。