愛犬の健康を手作りごはんでサポートするためのポイント。参考レシピも紹介!
もともと肉食寄りの雑食性を持つ犬は、人との共存が進む中で、雑食に適応してきました。一昔前は人の食事の残り物を与えることが一般的でしたが、ペット人気の高まりとともにドッグフードが開発され、今では栄養バランスの整ったフードが主流となっています。
しかし、添加物への不安や原材料の安全性、アレルギー対応などを考慮して、より安全で自然な食事を与えたいと考える飼い主が増えています。その結果、市販フードに代わる選択肢として手作りごはんを取り入れる人も増加しています。
また、フードをいくつも試しても愛犬の食いつきが悪く困っていたのに、手作りご飯にしたらよく食べるようになった、と報告している方もいます。
このコラムでは手作りごはんのメリットをはじめ、犬に必要な栄養素と参考レシピ、そして注意点や避けるべき食材について詳しく解説します。
手作りごはんのメリット
手作りごはんには、市販フードにはない魅力や、愛犬の健康を支える多くのメリットがあります。
自分で選ぶ安心感
手作りごはんの最大の魅力は、添加物を避けられることと、材料が明確であることです。
市販のドッグフードは栄養バランスが整っている一方で、保存性を高めるために酸化防止剤や保存料が、嗜好性を高めるために香料や味付けのための添加物、着色料などが含まれている場合があります。「ペットフード安全法」によって安全基準が定められているとはいえ、アレルギーを発症する可能性や、愛犬の体へ長期的に与える影響に不安を感じる飼い主も少なくありません。
手作りごはんなら、飼い主が自ら安全な食材を選び、添加物を避けることができるため、より安心して愛犬に食事を与えることができます。
健康状態に合わせて調整できる
必要な栄養素は、犬の年齢や健康状態に応じて異なります。
ごはんを手作りすることで、愛犬のライフステージや体重に合わせたカロリーの調整や、持病がある場合は、かかりつけ医の指示に沿って、体の状態に合わせた栄養素の調整を行うことができます。アレルギーにも柔軟に対応できます。
また水分を多く含む食材や、スープ仕立てのメニューを取り入れることで、必要な水分を無理なく摂取できるようになります。
愛犬との絆を深められる
手作りごはんは、飼い主の愛情を直接伝えることができる、特別なコミュニケーションのひとつです。
市販フードは栄養バランスが整っている一方で、同じ味や食材が多くなりがちですが、手作りごはんでは季節の野菜や新鮮な食材を使うことで、栄養バランスを整えながら愛犬にとってバリエーション豊かな食事を楽しませることができます。その結果、食いつきが良くなることも少なくありません。
また愛犬が特に好きな食材を多めに使ったり、好き嫌いの多い犬には好みの食材を中心に調理したりと、個々の犬のニーズに柔軟に対応できるのも手作りごはんの魅力です。食欲が落ちている犬や特定の食材が苦手な犬にも寄り添った食事を用意できるため、愛犬の健康状態をより細やかに把握する助けにもなります。
愛犬が美味しそうに食べる姿を見ることは、飼い主にとっても大きな喜びです。毎日のごはん作りを通じて、愛犬との絆がより深まり、かけがえのない時間を共有することができるでしょう。
犬に必要な栄養素
愛犬に健康的な食事を提供するためには、犬に必要な栄養素を理解することが大切です。
犬は肉食寄りの雑食動物であり、必要な栄養素は人と同じですが、比率が異なります。
必要な栄養素をバランスよく摂取するために、ごはんを手作りする際にはこれらの栄養素を意識しましょう。
①たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や内臓、皮膚、被毛、腱、軟骨、爪など、犬の体を構成するあらゆる組織を作るために必要な栄養素です。またホルモンや免疫細胞の材料としても重要で、成長や発達、組織の修復、免疫機能の維持に関わるため、強くて丈夫な体を作るためには欠かせない栄養素です。
たんぱく質を構成する約20種類のアミノ酸のうち、10種類の「必須アミノ酸」は犬の体内で合成できないため、食事から摂取する必要があります。
<おすすめ食材>
・鶏肉(ささみ、胸肉)
脂肪が少なく、良質なたんぱく質が豊富です。筋肉をサポートし、消化にも良い食材です。
・牛肉(赤身)
高たんぱくで必須アミノ酸を含み、特に赤身は鉄分や亜鉛などのミネラルも豊富なため、筋肉と血液の健康によい食材です。
・魚(特にサーモン)
たんぱく質に加えてオメガ3脂肪酸が豊富に含まれており、皮膚や被毛、心臓や血液、脳にも良い影響を与えます。また骨や関節の強化に役立つビタミンDや、抗酸化作用のあるビタミンEも摂ることができます。
②脂肪
脂肪はたんぱく質や炭水化物よりも効率的なエネルギー源で、体温の維持に役立ちます。また脂溶性ビタミンの吸収を助け、皮膚や被毛の健康を保つ重要な栄養素です。さらに、食べ物の嗜好性を高めることで、食欲増進にも貢献します。
<おすすめ食材>
・オリーブオイル
不飽和脂肪酸の代表格とされるオレイン酸を豊富に含み、皮膚や被毛の健康維持や便秘解消にも役立ちます。また抗酸化作用のあるビタミンEやポリフェノールも含みます。
・羊肉
牛肉の5倍近くのオメガ3脂肪酸とリノール酸を含み、血液をサラサラにする効果や皮膚や被毛への良い影響が期待できます。また他の肉に比べて、アレルギーを起こしにくいと言われています。
・青魚(イワシ、サバなど)
オメガ3脂肪酸が豊富で、皮膚や被毛の健康やバリア機能の維持に貢献します。
初めて与える際には、食物アレルギーを考慮して、少量ずつから試してみることをおすすめします。必ず加熱して、食べやすい大きさにしてあげましょう。
③炭水化物
炭水化物に含まれる糖質は即効性のエネルギー源となり、食物繊維は消化管の働きを活発にします。
犬にとって炭水化物は必須ではありませんが、エネルギー源として利用することで、たんぱく質を筋肉や組織の維持や修復、成長といった本来の役割に集中させることができます。
<おすすめ食材>
・お米
糖質やたんぱく質、ビタミン、ミネラルなど、幅広い栄養素が含まれています。
生米は消化できないため、柔らかく炊いて、冷ましてから与えましょう。食べやすいようにおかゆやスープなどにするのがおすすめです。
・さつまいも
不溶性の食物繊維が多く含まれているため、腸内環境の改善が期待できます。ビタミンが豊富で栄養価も高く、甘みがあるので好む犬が多い食材です。
皮は消化しづらいため取り除き、加熱してやわらかくしたものを冷まして与えましょう。
・オートミール
カロリーは他の炭水化物源と同じくらいですが、糖質が少なく、食物繊維やビタミン・ミネラルが多く含まれているため、効率よく栄養補給ができます。たんぱく質やリノール酸などの必須脂肪酸も豊富です。
消化しやすいようにやわらかくして、与えすぎには注意しましょう。
④ビタミンとミネラル
どちらも犬の体調を整える役割があり、体内で合成できないため、食事から摂る必要があります。
不足しても、過剰になっても健康問題を引き起こす可能性があるため、バランスに注意してください。
<おすすめ食材>
・にんじん
βカロテン(ビタミンA)が豊富で、視力や免疫機能をサポートします。食物繊維が多く、生のままだと消化しづらいため、加熱したうえで細かく切ったりすりおろしたりして与えましょう。ビタミンCやカリウムなど、水溶性の栄養素も含まれているため、スープにするのもおすすめです。
なお犬はβカロテンからビタミンAへの変換能力が高く、ビタミンA中毒のリスクがあるため、過剰摂取には注意しましょう。
・ブロッコリー
抗酸化作用のあるビタミンC・ビタミンE・βカロテンなどを豊富に含み、特に茎には蕾の約3倍のビタミンCが含まれます。
骨の健康維持に必要なカルシウムやビタミンK、カリウムや鉄分などのミネラル、腸内環境を整える食物繊維も摂ることができます。
・レバー
疲労回復に役立ち、皮膚や被毛を健康的に保つビタミンB群が豊富で、目の健康を守るビタミンAも含まれています。貧血を予防する鉄分や免疫機能をサポートする亜鉛も摂取できます。
嗜好性が高く、多くの犬が好む食材ですが、与える回数と量に注意しましょう。新鮮なものを選び、必ず加熱して与えてください。
愛犬の健康を守るためには、栄養バランスを意識し、年齢や健康状態に合わせて取り入れる食材を工夫することが重要です。
★参考レシピ★
◆サーモンと野菜のスープ
<材料>(中型犬1~2回分)
生鮭:100g(骨と皮を取り除いたもの)
ブロッコリー:50g
さつまいも:50g
水:300ml
オリーブオイル:小さじ1(仕上げ用)
無塩の鰹節(オプション):少量(香り付け用)
<作り方>
●下ごしらえ
・生鮭は骨と皮をしっかり取り除き、一口大に切ります。
・ブロッコリーは花の部分を小房に分け、茎は薄切りにします。
・さつまいもは皮をむいて小さな角切りにします。
①鍋に水を入れ、さつまいもを加えて中火で煮ます。
②さつまいもが柔らかくなり始めたら、鮭を加え、さらに5分程度煮ます。
③鮭に火が通ったら、最後にブロッコリーを加えて3~5分煮込みます。
※ブロッコリーは煮込みすぎるとビタミンCが失われやすいので、短時間で火を通しましょう。
④火を止めて粗熱を取り、スープ全体が適温になったらオリーブオイルを加えます。
⑤お好みで、無塩の鰹節を少量振りかけて完成です。
※レシピは参考です。実際に愛犬に与える際には、かかりつけ医と相談しながら、健康状態に合わせて提供してください。
手作りごはんのポイントと注意点
メリットの多い手作りごはんですが、注意したいポイントもいくつかあります。
効果的に取り入れるためのポイントと、注意点を確認しましょう。
まずは少しずつ
市販のドッグフードに比べると、ごはんを手作りするのは手間と時間がかかります。
栄養バランスの取れたメニューを考え、新鮮で安全な食材を毎日用意して、調理することは簡単ではありません。また新鮮な肉や魚、無農薬の野菜などの安全な食材を選ぶと、費用がかさむこともあります。
そのため、まずは市販フードに手作りのおかずを少量トッピングする方法や、週に数回だけ手作りごはんを取り入れる方法がおすすめです。またいつものフードから急に手作りごはんに切り替えると、犬の体が対応できずにお腹を壊す場合もあるため、段階を踏んで無理なく進めると良いでしょう。
栄養バランスに注意
総合栄養食として販売されているドッグフードと異なり、手作りごはんでは栄養バランスを保つことが課題となる場合があります。犬が必要とする栄養素を適切に摂取させるためには、必要な栄養素の種類や量を理解し、食材の栄養価を考慮したメニュー作りが大切です。また愛犬の年齢や健康状態に応じて、定期的に食事内容を見直すことも重要です。
犬にとって危険な食材
レシピを考える際は、与えて良い食材かどうかを十分に確認し、危険な食材を避けましょう。
赤血球に深刻なダメージを与え、貧血を引き起こします。嘔吐や下痢などの中毒症状が現れ、最悪の場合は命に関わることもあります。
・チョコレート
カフェインやテオブロミンが含まれ、嘔吐や下痢、けいれんなどの中毒症状を引き起こします。
・アボカド
動物にとって有害なペルシンという成分により、嘔吐や下痢を引き起こします。高脂肪・高カロリーのため、膵炎の原因となる可能性もあります。
・ぶどう、レーズン
急性腎不全を引き起こす可能性があり、少量でも危険です。
アレルギーに注意
ごはんを手作りする際には、アレルギーにも注意が必要です。
新しい食材を試すときは少量から与え、皮膚のかゆみや下痢などの症状が現れないか様子を見ましょう。また特定の食材を長期間与え続けると、アレルギー反応を起こす可能性があるため、食材を定期的にローテーションすることが大切です。
もし異常が見られた場合はその食材を避け、速やかにかかりつけ医に相談してください。
★ヤシロのペット霊園近郊の動物病院★
・豊中市 モモ動物病院
・箕面市 箕面外院どうぶつ病院
衛生管理
食材の選び方や衛生管理も重要です。食材の鮮度や保存方法に気を配り、食中毒や細菌感染のリスクを避けましょう。
特に手作りごはんは水分が多く傷みやすいため、基本的には作ったその日に食べさせましょう。
手作りごはんで愛犬の健康をサポート
手作りごはんは、愛犬の健康をサポートし、食の楽しみを増やすとともに、飼い主との絆を深めることにもつながります。
栄養バランスや健康状態を考慮したメニューを考え、新鮮で安全な食材を用意して調理するのは手間はかかりますが、その分愛情が伝わり、愛犬により良い生活を提供できます。
まずは簡単なものから始めて、必要に応じてかかりつけ医に相談しましょう。愛犬の体調や好みに応じてアレンジしながら、愛犬が喜ぶメニューを考えてあげてください。
愛情を込めた手作りごはんで、愛犬との幸せな毎日が、さらに充実しますように。
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