うさぎがかかりやすい病気と、知っておきたい予防策
小動物のペットとして人気の高いうさぎには、デリケートでストレスに弱い一面があります。飼育環境の変化やストレスが原因で、病気になることも珍しくありません。また、本能的に病気を隠そうとするため、気づかずに手遅れになってしまうケースもあります。
飼い主がその異変に早く気づくためには、日ごろの健康管理はもちろん、かかりやすい病気や予防策などについて、理解することが大切です。初期症状を見逃さないためにも、うさぎの病気について知っておきましょう。
うさぎがかかりやすい病気
特に気をつけたいといわれている、うさぎの病気をみてみましょう。
【胃腸うっ滞】
何らかの理由で消化管の働きが悪くなり、食べたものが胃や腸にたまってしまう状態です。食事内容が合わないことや、ストレスが原因の場合もあります。
また、換毛期や毛づくろいのときに、抜け毛を多く飲み込んで起こるケースもあります。
うさぎは普段から毛づくろいをするため、多少の毛を飲み込んでいても、通常であれば便と一緒に排出されます。しかし、うっ滞になると胃や腸の動きが止まってしまうため、お腹に毛玉がたまってしまい、さまざまな症状が出てきます。
うさぎは口から毛玉を吐き出せないため、放置すると死に至ることも多く、注意が必要です。
主な症状としては、食欲不振や便秘、うんちの形や大きさの異変、軟便や下痢などで、排便に異常が見られやすいといわれています。
<予防策>
牧草をたくさん食べさせましょう。繊維質をきちんと食べることで消化管が正常に働きます。
また、新鮮な水を十分に与え、適度に運動をさせて、消化管の働きを促進してください。
そして換毛期は、ブラッシングをしっかりと行い、飲み込む抜け毛の量を減らしましょう。
【不正咬合(ふせいこうごう)】
上下の歯のかみ合わせが、正常ではない状態です。主な原因としては、やわらかいものばかりの食事やケージの噛み癖、遺伝などが挙げられます。
うさぎの歯は一生伸び続けるため、繊維の多い草などをよく噛んで食べることで、歯が擦り減って適切な長さが保たれます。しかし何らかの原因で上下の歯がかみ合わなくなると、異常な方向に伸びてしまい、食事ができないなど影響が出始めます。
進行すると、二次的な病気から命に関わるケースもあり、注意が必要です。
代表的な症状として、よだれが流れることや食欲の低下、頻繁な歯ぎしりなどが見られます。
不正咬合は、一度なってしまうと繰り返し発症する可能性が高く、完治しにくいといわれています。一般的には伸びすぎた歯を削ったり、カットしたりという治療が行われますが、場合によっては全身麻酔をして歯を削ったりなど、大掛かりな処置になることもあります。
また、治療後も定期的に歯のメンテナンスのための通院が必要となり、うさぎにとっても飼い主にとっても負担となるため、積極的に予防しましょう。
<予防策>
牧草をたくさん食べさせたり、繊維質を多く含むフードを選んだりすることが大切です。また、ケージをかじらないように対策グッズを使うなどして、工夫してみてください。
【エンセファリトゾーン症(斜頸)】
エンセファリトゾーンという原虫が脳へ寄生して、体調不良を引き起こします。原因としては、母子感染が最も多いといわれています。また、感染しているうさぎの尿がついたフードや水を摂取することで、他のうさぎにも感染するケースもあります。
感染していても無症状の場合も多く、免疫力が低下すると発症します。
主な症状として、首が傾いたままの斜頸や、眼が揺れ動く眼振、歩行困難、身体が転がるローリングなどが見られます。白内障やブドウ膜炎などの、眼の症状が出ることもあります。
<予防策>
免疫力が落ちないように心がけましょう。衛生的な環境を整えることや、適切な食事、ストレスの少ない暮らしが大切です。
※斜頸の原因には、他にも細菌感染による中耳炎や内耳炎も考えられています。
【子宮がん】
メスのうさぎで気をつけたいのが、子宮の病気です。特に子宮がんは治療しないと命に関わるため、早期発見が望まれます。
多様な原因が考えられますが、一般的には、遺伝やホルモンバランスの崩れが理由だといわれています。
野生のうさぎは年中、繁殖できるように発情期が多く訪れ、妊娠と出産を繰り返すことができる身体になっています。しかし、ペットのうさぎの多くは妊娠をせずに、年齢を重ねていきます。そのため、ホルモンバランスが崩れやすくなり、子宮の病気にかかりやすくなってしまいます。
初期段階では無症状な場合が多く、進行すると血尿やお腹のはれなどが表れます。
<予防策>
避妊手術が一番効果的だといわれています。手術のタイミングも含めて、かかりつけ医に相談してみましょう。
【ソアホック】
足の裏に起こる皮膚炎で、後足にできることが多いです。足裏に負担がかかることで被毛が薄くなり、かさぶたや潰瘍ができます。
床材の固さやケージ内の清潔さ、運動不足、爪の伸びすぎなどが原因といわれています。
主な症状としては、痛みのために歩きたがらなくなったり、食欲が低下したりします。
<予防策>
足裏に負担をかけない床材選びや、衛生的な環境づくりがポイントです。トイレ掃除は毎日行い、足裏ができるだけ汚れないようにしましょう。
また、肥満も足に負担をかけてしまうため、適切な体重管理に努めてください。爪切りも定期的に行いましょう。
【尿石症】
尿が通る路に結石ができてしまい、排尿しにくくなっている状態です。もし尿道に結石が詰まり、尿が出ない状態になると、死んでしまう恐れがあります。
原因はさまざまですが、カルシウムの過剰摂取や水分不足などが挙げられます。
主な症状には、血尿や頻尿、トイレの失敗などが挙げられます。食欲の低下や歯ぎしりなども見られる場合があります。
<予防策>
結石の原因とされるカルシウムを過剰に摂取しないことが大切です。カルシウムは成長期には必要ですが、大人になったら与えすぎないように、食事内容を見直してみましょう。
また、水分不足にならないように、水が飲みやすい環境も整えてあげてください。
【スナッフル】
細菌感染によって、くしゃみや鼻水などの鼻炎症状がある状態です。もともと菌を持っているうさぎから移ることが多く、感染しても無症状の場合もあります。ストレスや免疫力の低下が原因で、発症したり感染しやすくなったりします。
目や耳、肺に広がることもあるため、注意してください。
主な症状として、くしゃみや鼻水、鼻づまりのような呼吸が見られます。鼻水を前足でふくため、前足の毛がゴワゴワしたりカピカピになったりします。
<予防策>
免疫力が落ちないようにすることが大切です。快適な室温の管理や、こまめな掃除、きちんとした食生活を心がけましょう。
【角膜炎】
うさぎの目の病気のなかでも、特に多いといわれています。目の表面に傷がついた状態です。牧草などのくずや埃が目に入り傷つくことも多いですが、うさぎ同士のケンカや、飼い主とぶつかるなどの接触事故が原因の場合もあります。
主な症状としては、涙が増えたり、目を細めていたり開けにくそうにしていたりするなどが見られます。また、目の周りの充血や、目ヤニが出る場合もあります。
<予防策>
ケージ内の掃除をこまめに行ったり、定期的に爪切りをしたりしましょう。その他にも、相性の悪い他のうさぎとはケンカをすることもあるため、なるべく近づけないようにしてください。飼い主の不注意で、うさぎとぶつかるなどのアクシデントも起こらないよう、うさぎをしっかりと見ておくことも大切です。
【熱中症】
うさぎは寒暖差に敏感で、特に暑さに弱いといわれています。
熱中症になる原因には、室内の温湿度が適切でない場合や、水分不足などが考えられます。
一般的な症状としては、体温が上昇して耳が熱くなったり、立てずにぐったりしていたり、呼吸が荒くなったりします。よだれが垂れることもあります。
<予防策>
適切な室温と湿度の管理、ケージの置き場所などがポイントになります。うさぎに適した温度は18~24度、湿度は40〜60%が目安です。うさぎの年齢や持病の有無などを考慮して、調整しましょう。
また、常に直射日光やエアコンの風が当たるところは避け、風通しの良い場所にケージを置いてください。脱水症状にならないために、新鮮な飲み水を十分に与え、飲水量も確認するようにしましょう。
【骨折】
うさぎの骨は軽くてもろいため骨折しやすく、高いところから飛び降りたり、パニックになって暴れたり、爪がカーペットに引っかかったりなど、日常の些細なことが原因で、折れることも珍しくありません。
症状としては、普段と違う歩き方をしたり、折れた部分を地面につけずに浮かせていたりします。動かない、歩きたがらないといったしぐさも見られます。
<予防策>
立ったまま抱っこしないことや、うさぎの爪が引っかかりやすい物を室内に置かないことなどが挙げられます。十分に気をつけてください。
いずれにせよ、何か異変を感じたら、かかりつけ医に相談しましょう。
病気が早く発見できれば、早期治療へつなげられます。定期的な健康診断も利用して、予防に努めましょう。
★ヤシロのペット霊園近郊の動物病院★
・豊中市 モモ動物病院
関連記事:死の前兆? 愛うさぎが出す病気のサインと、もしも最期を迎えたら
うさぎの健康を守ろう
かわいい愛うさぎの健康を守るためには、かかりやすい病気を知り、正しい食生活と清潔な環境を心がけることが大切です。毎日の健康チェックもきちんと行ってください。適切なケアを続けながら、うさぎと一緒の暮らしを楽しみましょう。
RANKING
- 施設のご見学・資料請求はこちら