猫のしぐさや行動から、気持ちをわかろう
かわいい愛猫のしぐさに、「何を伝えたいのだろう?」「今どんな気持ちでいるのかな?」と、思う方は多いですよね。
一般的に、猫は鳴き声やしっぽ、耳やひげなどを使って、自分の気持ちを表現しているといわれています。私たちからすると不思議なしぐさや行動でも、そこには意味があります。
そして、猫は警戒心が強い一面があるため、そうしたしぐさを見せるときは、間違ったケアをしないことが大切です。
余計なストレスを与えないためにも、猫が出すサインをよく理解して、深い信頼関係を築きましょう。
猫のしぐさとその意味
人と同じように、猫にも感情があります。その感情をしぐさから読み解くことができれば、よりコミュニケーションがとりやすくなるでしょう。
まずは、よく見られる代表例をご紹介します。
【鳴き声】
・喉をゴロゴロと鳴らす
とてもリラックスしており、心地よい気持ちを表しています。うれしいときや安心したときにみられます。
・短めの「ニャ」と、長めの「ニャー」
短めに鳴くときは、飼い主や家族への挨拶や返事といわれています。
逆に長めにと鳴くときは、要求や希望など、おねだりのときの鳴き声といわれています。
・「ケケケケ(カカカカ)」と鳴く
遊んでいて興奮したり、窓の外に獲物を見つけたりしたときです。興奮や関心を表現しています。
・「シャー」と威嚇する
他の猫や来客などが、自分のテリトリーへ入ってきて、それを追い払いたいときなどに威嚇します。「これ以上、近づいてほしくない」という気持ちであり、機嫌の悪さや警戒心の表れとされています。
【しっぽ】
・少し下がっている
自然と下がっているときは、穏やかにリラックスしているときです。力が入っておらず、だらりとした状態になっています。
・ゆっくり振っている
機嫌がよく、安心しています。リラックスしている状態ですが、もし何かをじっと見つめているようなら、興味のあるものを見つけたときです。あまりかまわずにおきましょう。
・まっすぐ垂直に立てる
嬉しいときや、甘えたいときに見せます。遊びたいときや、お腹がすいたときにも、同じようにすることがあります。
・だらんと下げている
叱られてしょんぼりしているときや、失敗して落ち込んでいるときに見られます。
長時間だらんと下げている場合は、しっぽを上げる力がなく、体調が悪い可能性もあります。食欲の有無などを観察して、気になる症状があれば、かかりつけ医に相談してください。
・後ろ足の間に巻き込む
弱気になっているときや、元気のないとき、怖いと感じたときなどに見られます。
新しい場所に行き不安を感じたときや、猫同士のケンカのときに降参のサインとして、このしぐさを見せることもあります。
・毛を逆立ててふくらませる
威嚇や怒り、驚きを表しています。恐怖を感じたときや、ケンカをしているときなどにも見られます。しっぽを膨らませることで、少しでも自分を大きく見せようとしています。
【耳】
・ピンと立てて前に向ける
好奇心がいっぱいのときや、興奮しているとき、警戒しているときに見られます。対象物に耳を傾けて、聞こえてくる音から情報を集めようとしているといわれています。
・横に寝かせている
頭を撫でてもらっているときや、お気に入りの場所で安心しているとき、リラックスしているときに見られます。心地よく、くつろいでいる証拠なので、そのままにしてあげましょう。
・ぺたんと伏せる
驚きや恐怖、警戒心を表しています。大きな音に驚いたり、猫同士のケンカが近くであったりすると、耳を頭の後ろにつけるように、ぺたんと伏せることが多いです。
この時はかなりナーバスになっているため、決して体を触らずに、慎重に対応しましょう。
・後ろにして耳先だけ上に向ける
不満があり、イライラしているときに見られます。上から見るとイカに似ているため、「イカ耳」とも呼ばれています。ストレスを感じているため、そっとしておきましょう。もしその原因を取り除けるようであれば、対応してあげてください。
【ひげ】
・上向きになっている
正面から見たときにV字のような形になって、ピンと立っているときは、うれしい気持ちを表しています。褒められてうれしいときにも、同じような形になります。
・前に向いている
何か興味のあるものを見つけたときです。好奇心を刺激されているときは、前向きにピンと張っており、ひげを使って情報を集めようとしています。
・自然に垂れている
リラックスしているときは自然と力が抜けて、下に向いています。
ただ、体調不良のときにも下向きになることがあるため、様子がいつもと違わないか、よく観察してみてください。
・後ろに引いている
恐怖を感じたり、驚いたりしたときに見られます。猫は恐怖を感じると、体を後ろに引いて身構える癖があり、ひげも後ろに引くといわれています。
また、ご飯を食べるときも、ひげを汚さないように後ろに引きます。これは気持ちに関係なく、自然な動作として行っています。
【体勢や姿勢】
・仰向けでお腹を出している
仰向けになって、へそを天に向けて寝るしぐさで、別名「へそ天」とも呼ばれています。急所であるお腹全体を出しているため、とてもリラックスしています。
甘えているときや、一緒に遊びたいときにも見られます。
・地面に平行な姿勢
リラックスしており、体に力が入っていない状態です。背中はまっすぐでしっぽも自然と垂れており、安心しているときです。
・腰を高くしているとき
怒っていて、攻撃態勢に入っています。強気で威嚇しており、お尻はやや持ち上がった状態で、いつでも飛びかかれるような姿勢になっています。
・低い姿勢をとる
警戒心の表れといわれています。獲物を狙うときのポーズでもありますが、周りに気づかれたくないという気持ちがあります。なるべく、そっとしておきましょう。
猫のしぐさには、本音が隠されています。特に警戒しているときは、あまりストレスを与えないように気をつけてください。
よく様子を見た上で、必要に応じて手を差し伸べてあげてくださいね。
猫の習性による行動と気持ち
猫には、習性によって見られる行動があります。しぐさと同じように、猫の気持ちもその行動には表れています。
【爪とぎ】
よく見られる爪とぎですが、猫の足の裏から出る匂いを特定の場所につけて、自分の縄張りを主張していると考えられています。また、古い爪をはがすための爪のケアでもあります。それ以外にも、飼い主へアピールしたいときや、かまってほしいときに爪とぎをすることがあります。
爪とぎは猫のストレス発散にもなるため、やめさせるのではなく、それ専用の場所を作るなどして対応しましょう。爪とぎ用のグッズもたくさんあるため、上手に活用してください。
【毛づくろい】
猫はとてもきれい好きで、頻繁に自分の体を舐めて毛づくろいをしています。これには体の汚れなどを取り除き、毛並みを整える目的もありますが、気持ちを落ち着かせる意味もあります。
猫は気持ちをリセットしたいときや、そうした状況になったときに、毛づくろいを始めることがあります。また、眠くなっているときや、お腹がいっぱいで満足しているときなどにも見られます。
身だしなみを整えるための毛づくろいの場合、猫の舌だけでは届きにくい部位もあります。日頃から、ブラッシングをしてあげてください。その際は猫の体に触れるため、健康チェックもしてあげましょう。
【頬を擦りつける】
猫はもともと縄張り意識があるため、自分の匂いを家具などに擦りつけることで、マーキングをしています。家具や飼い主に、頭やお尻をこすりつけているときは、自分のテリトリーを主張しています。一日に何回かテリトリーを歩き回るときも、匂いが薄くなっている場所があれば、再度、頬や体を擦りつけて匂いを強めていきます。
飼い主の帰宅時に足にスリスリとしてくるときも同じで、知らない匂いをつけて帰ってきたため、匂いを上書きすることで安心しようとしています。
また、甘えているときや、ごはんなどのおねだりのときにも、同じ行動を見せることがあります。多頭飼いの場合も同様に、自分と相手の匂いを確認するために行うときもあります。
【狭い場所に入る】
猫は段ボールや紙袋、押し入れやクローゼットなど、狭い場所が好きです。
家の中の狭い場所に入り込むのは、外敵から身を守るためといわれ、獲物を横取りされないように、穴の中に運んで食べていた名残ともいわれています。狭い穴は襲われる心配が少ないため、安心できる寝場所でもあります。
室内には、猫の体がすっぽりおさまるようなベッドや、隠れられる場所などを作ってあげてください。遊びに利用したり、落ち着ける場所として過ごしたりできるでしょう。
【丸まって寝る】
猫は頭からしっぽまで、くるりと丸まって寝ているときがあります。これは急所であるお腹を隠しているため、安心してリラックスしているといわれています。
また、寒い時期には、体温を逃がさないために丸まって寝ることもあります。冬にこの姿をしていたら、室温を確認してみましょう。
愛猫からのサインに気づこう
マイペースで気まぐれな猫ですが、実は全身を使って、飼い主へ気持ちや愛情を伝えています。頬をすりつけたりお腹を見せてくれたりするのも、飼い主が好きで心を開いているからです。
今まで愛猫の気持ちがわからずに悩んでいた方は、この機会にしぐさの意味を理解してあげてください。きっと、信頼関係や絆を深めることにつながるでしょう。
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