どう変わる? シニア犬との過ごし方
一般的に、犬は一年で人の4~7倍の速さで年をとります。
主に小・中型犬は7歳から、大型犬は5歳になったら、老齢期(シニア期)に入ります。
そして高齢になると、自分で歩けなくなったり、食べられなくなったりします。今までは自然とできていたことが、徐々にできなくなってしまい、驚かれる飼い主も多いでしょう。散歩や食事のときも、介護ケアを取り入れることが必要になります。
今回は、シニア犬のサインやケア方法、食事の注意点などについて、ご紹介します。
老齢期のサインとケア
愛犬も年を重ねると、さまざまな変化があらわれます。
ここでは、その代表例をご紹介します。
からだの変化
・散歩のペースが遅い
後ろ足に力が入りにくくなり、歩く速度が遅くなります。フラフラと歩くようになったり、立ち止まる回数が増えたりします。高い場所へのジャンプもできなくなるなど、戸惑う場面に出くわすこともあります。
無理に歩かせるのではなく、ペースを落としたり、散歩の距離を短くする などしてみましょう。また、犬専用のカートや、歩行補助のハーネスなども、おすすめです。
関連記事:シニア犬の散歩が必要な理由。適切な時間や回数はどれくらい?
・耳が遠くなり、ぶつかりやすくなる
足以外にも、目や耳などの、感覚器の機能が低下してきます。
家の中でも物にぶつかりやすくなるので、注意が必要です。なかには、家具の隙間などに入り込み、出られなくなる場合もあります。
ケガをしないように、柱や机の角などは、布やコーナーガードでくるみましょう。床も滑らないマットに替えたり、家具の隙間には、手触りのよい毛布やクッションを敷いたりします。
これを機に、室内環境を見直してみましょう。
・顔周りの老い
目ヤニや鼻水がひどくなります。また加齢による血行不良などから、皮膚にイボができることもあります。目の周りも落ちくぼんできたりと、見た目にも老化が現れます。
目ヤニは、こよりにしたティッシュを水で濡らし、からめとるように巻き取ると良いでしょう。
できるだけ毎日、愛犬のからだを見て、変化が現れていないか確認しましょう。
・食事量が減る
食欲や消化機能も低下してくるため、1回の食事量が減ってきます。
詳しくは、こちらを参考にしてみてください。
性格の変化
からだの衰えが原因で、性格が大人しくなり、静かになる場合があります。またその逆もあり、思うように動けないストレスなどから、苛立ち、荒っぽい行動に出るケースもみられます。
ただ、しつけと称して必要以上に厳しくすると、愛犬が怖がってしまいます。
何か不安を感じたら、からだの変化も含めて、かかりつけ医に相談してみましょう。
食事の基本と注意点
愛犬も食欲が低下してくると、少食になります。
食事の内容も、ドッグフードの場合は、シニア用へ切り替える時期です。これを機に、人間と同じ食材で、手作りのごはんに変えられる方もおられます。
では、どのような点を意識して、食事を用意するとよいのでしょうか。
基本的なポイントをみてみましょう。
食材の考え方
一般的には、シニア犬フードの基本は、「高たんぱく質・低脂肪・低カロリー」といわれています。
たんぱく質は、摂取量が落ちると、筋力や免疫力の低下につながってしまいます。
また散歩などの運動もしにくくなるため、できるだけ高脂質な食材は避け、低脂肪・低カロリーを意識すると良いでしょう。
次に気をつけたいのが、「食物繊維」です。
からだの機能を整え、体内の毒素を排泄させるには、食物繊維(野菜)が大切です。特に、便秘予防や排便を助けるといわれています。
ドッグフードの場合も、食物繊維の豊富さや、消化吸収のよさを意識して選んでみましょう。
なお、ドッグフードには、主食となる総合栄養食と、間食用のおやつ、また特定の栄養素の摂取を目的にした、栄養補助食のサプリメントがあります。
特にサプリメントは人気も高く、関節の老化防止(グルコサミン・コンドロイチン)や視力回復(ベータカロチン・ルテイン)など、さまざまな種類が登場しています。
いずれも、かかりつけ医などに相談し、愛犬の状態を考慮した上で、適切な量を与えましょう。
水分補給
高齢になると、水分摂取が上手にできなくなります。脱水症状になりやすいため、こまめな水分補給を心がけてください。
飲まないようなら、ただ水を置いておくのではなく、犬用ミルクやスープなど、風味をつけてもよいでしょう。
また、喉の機能が衰えてくると、サラサラした液体が飲みにくく、誤嚥(ごえん)につながる恐れもあります。こうした場合は、液体にとろみをつけるなど、工夫してみましょう。
誤嚥(ごえん)防止
万が一に備えて、誤嚥や窒息の対策をしておくことも大切です。
誤嚥をしたら、顎をあげずに、少し前かがみの姿勢をとらせ、できるだけ咳で吐き出させてください。落ち着き次第、獣医さんに診てもらいましょう。
また食事中に息が荒くなったら、窒息を疑ってください。
からだを前かがみにさせて、背中の中央より少し上あたりを軽く叩き、詰まったものを吐き出させましょう。吸引機を使うのも、一つの方法です。
なお、誤嚥性肺炎も要注意です。口のなかに残った食べかすや、食事中の食べ物が誤って器官のなかに入りこみ、肺炎を引き起こします。
食べかすには口腔ケアが対策として挙げられます。口臭の原因にもなるため、口腔ケアは毎日やりましょう。
いざという時に困らないためにも、かかりつけ医に相談した上で、対策を考えておいてくださいね。
※寿命や老化現象などは、犬種や個体差、年齢によって異なります
※予防法やケア方法などは一例です。症状や原因によって、対策や対応が異なる恐れがあります
笑顔ですごせる時間を
老いていく愛犬を見ると、つい元気だったころと、比べてしまいますよね。
しかし、愛犬の介護にあたり、“お世話をすることで、さらに愛おしさが増した”という声も聞きます。
完璧にケアすることを目標にするのではなく、愛犬と笑顔で過ごせる時間を増やすことを、考えてみてくださいね。
どうぞ無理なく、今できることを続けてみましょう。
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