インコの突然死を防ぎ、死の前兆を見逃さないために知っておきたいこと
インコの寿命は平均10年前後と、ハムスターやうさぎなどペットとしてよく飼われている他の小動物と比べても長く、比較的体が丈夫で飼育のしやすい動物です。しかし、病気や中毒などで突然死しやすい一面も持ちあわせています。そのためインコの体調の変化をしっかりと観察する必要があります。
大切なインコとともに長く過ごせるように、日ごろから注意深く見守り、体調不良のサインを見逃さないようにすることが重要です。
インコの死の前兆
インコの平均寿命はセキセイインコで5〜8年、コザクラインコで10〜15年といわれています。
元来群れで暮らす習性があるインコは、自然界では弱っていることを知られると外敵に襲われやすくなり、仲間の群れから外されることもあるため、弱っている姿を隠そうとします。そのため寿命が近いと感じたときには、特に注意が必要です。
まずはインコの死の前兆として考えられるサインや症状についてみていきましょう。
行動やしぐさの変化
・羽を膨らませる
寿命が近づき体温が下がってくると、羽をふくらませて動かなくなることがあります。インコは寒いときに羽を膨らませて体温を保ちますが、室内の温度が保たれていてもこのような動作をする場合は、注意が必要です。
・動きが鈍くなる
普段は元気なインコが、急に元気をなくして動きが鈍くなってきたときは、死の前兆かもしれません。寿命が近づくにつれて脚力が衰えてくるため、止まり木につかまれなくなったり、ゲージの床を歩くようになったりするケースもあります。動きが鈍るだけではなく、人や周囲からの刺激に対する反応も鈍くなってきます。
・甘えてくる
ケージに入ることを嫌がったり、飼い主から離れようとせず甘えてきたりすることがあります。インコが必要以上に甘えてくるときは、体調に何らかの変化があり、飼い主に助けを求めているサインかもしれません。
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全身状態の変化
・見た目の変化
インコはとてもきれい好きで、毎日羽の毛づくろいをします。しかし寿命が近づき体力が低下してくると、毛づくろいをする余裕がなくなり、羽が乱れてパサついてきます。
また一見元気そうに見えても、目や鼻、くちばし、爪、肌などの見た目から体調の変化に気付くことがあります。
小さな異変にもすぐ気づけるように、毎日インコの様子に気を配り、病気の早期発見に努めましょう。
・食欲の低下
食欲の低下も、変調に気づきやすいサインです。
加齢によって消化機能が衰えるため、食欲は徐々に落ちてきますが、急に食欲が落ちたり、まったくエサを食べなくなったときは、死の前兆の可能性があります。普段から食事の様子を確認しておきましょう。
・体重の変化
食欲が低下すると体重も減少してきますが、短期間で体重が著しく減少するのは危険な状態です。かかりつけ医の診察を受けましょう。
また体重の増えすぎ(肥満)もさまざまな病気の要因になります。肥満が突然死につながることもあるため、注意が必要です。
・排泄物の変化
病気や中毒などの症状がフンに現れることがあります。インコの体調変化のサインとなりますので、普段からフンの状態をチェックしておきましょう。
また死が近づくと身体の機能が低下するため、下痢や嘔吐を繰り返すことがあります。体が汚れたらきれいに拭いてあげましょう。
このような死の前兆と思われるサインが見られた場合は、かかりつけ医に相談して適切な処置を受けてください。
インコの健康を守るためには、快適な環境を整え、普段からインコの様子を注意深く見守って、早期に変化に気付くことが何より重要です。
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インコの突然死
体が小さく繊細なインコは外的要因の影響を受けやすく、突然死することが多い動物だと言われています。
突然死の原因を知り、できるだけの対策をたてておきましょう。
中毒症状
インコの突然死の原因の一つに、中毒症状があります。
中毒症状を起こすと、嘔吐や下痢などの消化器系症状、震えや興奮などの神経系症状、呼吸困難などの呼吸系症状、皮膚の炎症などの症状が現れます。短時間で死に至ることもあるので、注意が必要です。
人間にとって安全でも、インコにとっては命に関わるものも少なくありません。
ここでは具体的な中毒原因と、その影響をいくつか紹介します。
【食品】
・アボカド
アボカドに含まれるペルシンという毒素は、鳥類にとっては猛毒になるため非常に危険です。摂取後24時間以内に呼吸困難、心臓、肺、肝臓、腎臓、消化器等の中毒症状を発症し、適切な処置を行わなければ死に至ります。
・チョコレート
チョコレートにはインコにとって有害な、テオブロミンとカフェインが含まれています。数時間程度で嘔吐、下痢、震え、興奮などの中毒症状が現れ、死に至ることもあります。
・カフェイン
コーヒーや紅茶などに含まれるカフェインも、インコにとって有害です。カフェイン中毒は心拍数の増加、震え、不安、消化不良などの症状を引き起こします。
【植物】
・ユリ科の植物
ユリやチューリップなどのユリ科の植物は、インコにとって毒性があります。嘔吐、下痢、呼吸困難などの中毒症状を起こします。
・サトイモ科の植物
モンステラやポトス、カラーなどの観葉植物にも注意が必要です。これらに含まれるシュウ酸カルシウムをインコが口にすると、食欲低下、炎症、嚥下(えんげ)困難などの症状が起こり、気道を塞いでしまって死に至ることもあります。
【金属類】
・鉛
アクセサリー、家具の塗料、おもちゃなど、身の回りの多くのものに含まれています。嘔吐、食欲低下などの症状や、フンが独特の濃い緑色になり、黄~緑色の尿を排泄することもあります。
治療が遅れると数日で死亡する危険な中毒ですが、診断がつけば解毒剤による治療が可能です。インコの体調の変化を見逃さず、いかに早く病院に連れて行くかが重要です。
・亜鉛
5円玉や500円玉硬貨、亜鉛メッキされたおもちゃの鈴などに使われています。鉛中毒と併発することがあります。
・銅
主に電源コードなどに用いられています。通常は塩化ビニルなどで覆われていますが、インコがケーブルをかじった場合に摂取するおそれがあります。
中毒を起こさないためには、食べ物だけでなく、身近にあるアクセサリーやおもちゃ、家具などにも中毒を引き起こす物質が含まれていることを意識してください。
・インコに適した食事を与え、有害な食品や植物を避ける
・金属製品や化学物質、薬品をインコの近くに置かないように、安全な環境を保つ
などの対策を行って、中毒のリスクをなくしていきましょう。
突然死するその他の原因
・アロマオイル
アロマオイルの使用がインコに悪影響を及ぼすことがあります。
具体的な原因は不明ですが、アロマオイル特有の香気成分や揮発する油から中毒を起こす恐れがあると考えられています。体の小さいインコにとっては、少量の成分でも猛毒になってしまいます。死に至るケースもありますので、インコのいる部屋でのアロマディフューザーなどの使用は避けたほうが良いでしょう。
・ガス
ガス漏れが危険であることは言うまでもありませんが、キッチンでの調理中に思いがけずインコにとって有毒なガスが発生することがあります。
フライパンやホットプレートなどテフロン加工の製品は、空焼きなどにより高温加熱した際に、PTEEと呼ばれるガスが発生します。このガスをインコが吸い込んでしまうと、呼吸不全を起こします。有毒性が非常に高いため、治療が間に合わず死亡するケースがあります。
またオーブンレンジの製品によっては、加熱の際に微量なガスが発生することがあります。人間にとっては無害でも、体の小さなインコにとっては有害となるため、注意が必要です。
キッチンは湯気や熱くなった調理器具など、危険がいっぱいです。調理中は換気を行い、インコを近づけることは避けましょう。
・誤飲
インコは好奇心が旺盛で、興味があるものに対して「噛む」「かじる」などの行動をとります。インコ専用の製品であっても、飼い主の予期せぬ使い方をすることがあるため、油断はできません。
誤飲するとえずく、食欲低下、下痢や嘔吐、歩調の乱れなどの症状を起こします。急性の場合は、ふらつきや痙攣などの症状が現れることもあります。
いつもと様子が違うと感じたら、すぐにかかりつけ医に連絡しましょう。
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誤飲は繰り返す傾向があるため、細かいものは蓋付きケースにしまう、電源ケーブルは束ねてカバーを付ける、インコのおもちゃに破損がないかチェックするなど、普段からできる範囲の対策を取っておきましょう。
また栄養状態の悪いインコは、異物をかじることが多くなり、誤飲事故を起こしやすくなります。普段からバランスの良い食事を心がけることも大切です。
誤飲は飼い主が気をつけていれば防げることも多い事故です。放鳥時は安全な環境を作り、しっかりとインコを見守ることを心がけましょう。
・事故
インコの放鳥中に、思いがけない事故が起こることもあります。
床を歩いていて人に踏まれてしまう、扉で挟んでしまうなど、人の不注意から起きる事故や、犬や猫など他のペットによる咬傷、壁や扉に激突してしまうなど、原因は様々です。
インコの放鳥中は注意深く見守って、事故が起きないように配慮しましょう。
愛情を込めて見守り、インコの健康を支えよう
インコは比較的丈夫で飼いやすいと言われています。しかし、体調不良や老化を隠す性質があるため、注意深く見守る必要があります。
また中毒や誤飲、事故により突然死を起こすこともあり、放鳥する際には特に注意しなければなりません。
早めに異変に気づいて対応をすることが、大切な家族としてインコの突然死を防ぎ、健やかに暮らし続ける鍵となります。
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