インコの気持ちを、しぐさや行動から読み取ろう
インコは感情表現がとても豊かな生き物です。知能が高く、飼い主の話しかけ方や表情から感情を読み取って反応するため、深いコミュニケーションがとれることに、喜ばれる方も多いでしょう。
しかしその一方で、ストレスに弱いともいわれます。寂しがり屋のため、飼い主とのコミュニケーション不足や、不信感がその原因となる場合もあります。信頼関係がうまく築かれていないと不安になり、噛んだり呼び鳴きが激しくなったりするケースもみられます。
そうしたストレスを与えないためには、インコの気持ちを理解することが大切です。しぐさや本能的な動作の意味を理解して、信頼関係を深めましょう。
インコのしぐさや鳴き声の意味
インコはその動作や声で、気持ちを伝えています。
まずは代表的なしぐさと鳴き声などをみてみましょう。
【うれしいとき】
機嫌よくさえずったり、楽しそうにおしゃべりしていたり、頭を上下に振って踊ったりします。特に揺れるように踊っているときは、楽しい気持ちでいっぱいのときで、喜びを周りにアピールしています。
歌うように鳴くときも、気分の良いときです。なかには大はしゃぎで、床を転げまわる子もいます。
【くつろいでいるとき】
のんびりと毛づくろいしたり、小声でブツブツとつぶやいていたりするときは、リラックスしています。小声は意図的に出した声ではなく、心地よくて発せられる、独り言のようなものです。
飼い主の手の中で、仰向けになって急所であるお腹を見せているときも、安心しています。
【好奇心や興味があるとき】
首を少しかしげて片目で何かを見つめているときは、初めて見る人や物などを観察しています。
全身がシュッと細くなって伸びるときや、ぐいっと身を乗り出すときなども、興味津々の状態にあります。
【遊びたいとき】
遊ぶ前に止まり木を行ったり来たりするときは、放鳥タイムが待ちきれずに、そわそわしています。遊べることがうれしいという気持ちです。
また、おもちゃをテーブルの上から落としてのぞき込むときは、飼い主に「拾ってほしい」「この遊びに参加してほしい」という気持ちでいます。
【触れ合いたいとき】
頭を下げるときは、飼い主になでてほしいときです。なでられたときに、うっとりと目を閉じるのは、もっとなでてほしいというサインです。
飼い主の顔に近づいて、頬や鼻にクチバシを押し当ててくるのも、触れ合いたいという気持ちの表れです。
【驚いているとき】
驚いているときや興奮しているときは、瞳孔が小さくなって、目が点のようになります。尾羽が一気に広がるときも、驚いて動揺しています。
相手に自分を大きく見せようとしているときにも、尾羽を開くときがあります。
【緊張しているとき】
目をそらすときは緊張しています。手に乗っても背中を向けたり、初めての人の手を避けたりするときも、緊張や警戒を表します。拒絶のサインのため、無理のない範囲で接しましょう。
なお、緊張から体の羽毛が膨らむことがありますが、うれしいときや眠いときにも同じしぐさが見られるため、状況などをみて判断してください。
【怒っているとき】
急におもちゃを攻撃するときは、怒ってイライラしています。何か気に入らないことがあるときに、怒りをぶつけています。
また口を大きく開けて怖い顔をしているのは、気に入らない相手を追い払うときです。
【鳴き声】
インコは鳴き声でも、自分の気持ちを表現しています。
・「ピュロロピュロロ」
オスからメスへの求愛の声です。メスの気をひこうとしたり、縄張りを主張したりしています。飼い主と遊んでいるときに、この鳴き声で愛を伝えてくることもあります。
・「ピュイッ」
飼い主に自分の名前を呼ばれたときなどに、返事をしています。人も呼ばれたら「はーい」や、「なあに?」といった返事をしますが、それと同じような反応だといわれています。
・「ピーピー、ピーヨ」
ケージの中でこう鳴いているときは、仲間を呼んでいます。仲間を探している呼び鳴きといわれ、飼い主の姿が見えないときなどに聞かれます。インコは一人にされるのを嫌うため、「こっちに来てほしい」という気持ちで、鳴いてアピールしています。
・「ピッ」
小さな声でこう鳴くときは、驚きや不安を感じています。聞きなれない音や不審な物を見たときに、怖がって鳴いています。かなりストレスがかかっている状態のため、その原因を取り除けるなら、対応してあげましょう。
・「ギャギャギャ」
威嚇していたり、怒っていたりするときです。機嫌が悪いときなどにも、この声で鳴きます。
【冠羽の動き】
オカメインコやコザクラインコなどオウム科の鳥(インコ)には、頭部に冠羽があります。
その冠羽の動きにも、注目してみましょう。
・冠羽が寝ている
落ち着いているときです。穏やかな気持ちで、リラックスして過ごしています。
・冠羽が立つ
恐怖や怒り、驚きや緊張、興奮などを表します。どの感情なのかは、体の他の部位や状況などとあわせて判断してください。
・冠羽が立ったり戻ったりする
冠羽がゆらゆらと不安定なときは、迷っているときです。「あっちへ行きたいけど、怖い気もするし、どうしよう」などの気持ちです。
知らない相手を観察しているときなどにも、見られます。
インコの習性による行動とは
インコが生活のなかで見せる行動には、習性が影響しているものもあります。
本能的な動作にも気持ちが表れているため、理解しておきましょう。
【噛む、かじる】
身の回りの物を噛んだりかじったりすることで、その正体を確認しています。
また、飼い主とコミュニケーションをとるために、手や指を甘噛みすることもあります。こうした甘噛みは愛情表現であり、飼い主の気を引きたい、注目してほしいという気持ちがあります。
ただし、発情期や反抗期などに噛むこともあります。縄張り意識が強いため、自分の縄張りに何か入ってきたら攻撃することもよく見られます。機嫌が悪いときや不満があるときに、噛んでくることもあります。
飼い主が「痛い!」と言うと、喜んでいると勘違いするため、大きなリアクションは控えましょう。もしインコが噛みそうになったら、噛んでも問題ない物を代わりに差し出すなどして、対応してみてください。
【人の言葉を話す】
インコは本来群れで生きるため、一緒に暮らす家族は群れの仲間だと認識しています。
仲間と同じ言葉で話すことは、コミュニケーション手段であり、集団生活をする上で大切なことなので、飼い主の言葉を真似します。
【高いところに止まる】
野生で暮らすインコたちは、外敵に頭上から狙われないために、より高い場所に止まろうとします。本能的にその方が安全だと思っているため、室内では棚の上やカーテンレールなど、高い場所を好みます。
なかなか降りてきてくれない場合は、おやつで誘導したり、ケージ内におもちゃを置いたりして、下に降りても楽しいことがあると教えてあげましょう。
【狭い場所に入ろうとする】
狭くてうす暗い場所が落ち着いて好きなため、家具の隙間などに潜り込もうとします。
好奇心から探検している場合もあります。
【羽を広げて歩き回る】
自分の縄張りに異常がないかどうか、パトロールしています。羽を広げているのは、体を大きく見せて優位に立つためです。
インコは縄張り意識が強いため、お気に入りの場所への執着も強く、そこをおびやかす者には、攻撃的になりやすいといわれています。
【羽を広げて伸びをする】
両足と両翼を順番に伸ばしていく動きで、「開始行動」といわれています。人でいう準備運動のようなもので、何かを始める前に見られます。不安がなくリラックスした状態でおり、活動的な気分になっているため、やる気が高まっています。
ただし、休みたいときにも同じ行動を見せることがあるため、疲れていないかなど、よく観察してみてください。
【くちばしをギョリギョリ合わせる】
上下のクチバシをこすり合わせる音で、寝る前に聞かれます。インコが安心して寝る準備をしているため、この音が聞こえたら、そろそろおやすみのサインです。睡眠のための環境を整えてあげましょう。
【発情期の行動】
飼い主やおもちゃ、止まり木などにお尻をこすりつけるのは、オスによく見られます。また、頭を上下に振って食べたエサを吐くのも、代表的なオスの求愛行動といわれています。
メスの場合は、巣作りを始めます。巣作りのために、必要な巣材を集め始めます。
なお、発情期のメスの背中を触ると、尾羽を上げて交尾をするポーズを見せることがあります。
いずれもこの時期はイライラして攻撃的になることも多いようです。過剰に発情しないように、環境をしっかりと整えましょう。
【暑さ寒さのサイン】
暑いときは、口を開けて息が「ハアハア」と荒くなり、脇を開いて羽を上下させています。
寒いときは、背中に顔をうずめるしぐさがよく見られます。片足立ちをして、体温を調整したり、全身の羽を膨らませたりする場合もあります。
インコの様子が普段とは違うときは、かかりつけ医に相談してください。
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インコの気持ちに寄り添ってみよう
インコはとても愛情深いため、飼い主を信頼すると、全身でその気持ちを伝えてきます。その分、一度でも信頼関係が壊れたら、元に戻すことが難しいといわれています。
ずっと仲良く暮らすためには、インコの気持ちに寄り添うことが必要です。しぐさの意味を理解した上で、心をこめて接してみてくださいね。
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